島耕作への道 ~第七十ニ歩目・東京本社編その10~
いやいや、また仕事が始まったよ。9連休明けはやっぱりキツイわ。何度寝そうになったか(苦笑)。
さて、八月頭から中国に行っていた鬼部長が、また戻ってきた。いや、お戻りになった。職場はまた緊張感に包まれ、部長を煙たがる人も多い。でも実は僕、結構この方を尊敬している。それは約一ヶ月前、賢明な読者は覚えていよう(横山光輝風)、僕が一人暮らしをしようか迷っていたときのことを。詳しくは、過去記事の「格安物件の落とし穴」を読んでいただくとして、とにかく、僕は悪徳不動産に10万ジャパニーズYENをボラれそうになり、会社の休み時間に電話で抗議していたときだった。その電話が終わったとき、ちょうど休憩に来た、いや、休憩にいらした部長のお姿が。そして部長は、諭すような口調で話し、もとい、ご口調でお話しになられた。
「タカSHITくん、キミは実家から通える距離なんだから、できるだけ通った方がいいぞ」
そして、部長は僕と同じ歳のご息女がいらっしゃることや、単身赴任のことなどを聞かせてくださったのだ。
―なんかね、単純な僕は、部長のこのお話にめちゃくちゃ感激したのよ。いや、話の内容っていうより、戦時中だったら左官クラス以上であろう部長が、戦時中だったら兵卒見習い程度の僕のことを、我が子のように話しかけてくださり、なおかつ心配してくださったことに、だ。
ようやく理想の上司に出会えたタカSHITだったが、その幸せは長くは続かなかった。部長はあと4日で、海外営業を統括するご身分になられ、中国に行かれる。僕は、その話も部長から直接お聞きしたのだが、部長は最後にこうおっしゃってくれた。
「タカSHITくん、いつかキミと中国で働きたいね」
・・!
・・・・!
・・・・部長ォ~!アンタ、どこまでこのタカSHIT様を惚れさせりゃ気が済むんだよっ!部長の定年まであと7年。なんとかお力になりたいぜっ!
さて後日談だが、ハゲ主任が僕に、
「一人暮らしの家は見つかった?」
と聞いてきたときのこと。僕は、
「いや、部長に相談したら、『まだやめとけ』って言われたので、とりあえず保留です」
って答えたのよ。そしたら、ハゲ主任や、この話を聞いていた他の先輩方全てが、口を揃えてこう言った。
「ぶ、部長にッ!?Σ( ̄□ ̄;)」
―そりゃあそうだよね、鬼部長だもん(笑)。
ちなみに、もし僕が「ほしのあき」だったら、迷わず部長を落とします(笑)。